おいもの記録

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【読書】彼女のこんだて帖

#角田光代

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「#彼女のこんだて帖」

読了しました。

 


長く付き合った男と別れた。

だから私は作る。

私だけのために、

肉汁たっぷりのラムステーキを!

仕事で多忙の母親

特製かぼちゃの宝蒸し、

特効薬になった驚きのピザ、

離婚回避のミートボールシチュウ−

舌にも胃袋にも美味しい料理は、

幸せを生み、人をつなぐ。

レシピ付き連作短編小説集。

 

 

 

生きる上で、

食べること、寝ることは、

きっと生活と切り離せない。

 


その食べることに

焦点を当てたこちらの小説。

 


久しぶりに読みましたが、

本当に好きだなぁ。

 


様々な年代の登場人物たちが、

大小、様々な悩みを抱えながら

日々を生きている。

 


誰かのために、

あるいは、自分のために。

ご飯を作って、

今日も食べる。

 

 

 

 


物語がモノローグ形式で進むのも、

私はとても好きでした。

 


人って、

口に出さずとも、

心の中で

色んなことを考えて、思って、

そうして生きてる気がするから。

 


この本の中では、

一人一人が、

とても人間らしく

生き生きとしている。

 

 

 

そして何よりこの本の、

一番嬉しいところは、

本の最後に

写真付きのレシピが付いているところ。

 


料理関連の本を読むと、

ついつい食べたくなってしまう。

その時にありがたいのが、

このレシピの数々。

 


角田光代さんの、

繊細な表現は、

読んでいる側の想像力を

どこまでも膨らませてくれます。

 


ほわっと立ち上る湯気や、

口の中に広がる香りなど

まるで

本の中で、

一緒に食べているかのように

錯覚しながら、

読み進められました。

 


また連作の短編小説集なので、

物語の世界が、

1編を読むごとに

徐々に広がる感覚も楽しい。

 


おすすめの一冊です。

【映画】ふたりの女王

【映画】記録

 

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「#ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

鑑賞しました。

 


イギリスの歴史について、

詳しい方がきっと見やすいし、

もっと入り込めるのだろうな

と思いましたが、

でもとても良き映画でした。

 


スコットランドの女王

メアリー

イングランドの女王

エリザベス

 


2つの視点(主にメアリー)から

描かれる女王であるが故の苦難。

 


おそらく、

時代が違えば

お互いに一番の

良き理解者になれたのであろう

ふたりのすれ違いと、

ふたりを取り巻く側近の男たちと

時代の流れ。

 


見えている終わりに向かって

切なく儚くも、

力強くプライドを持って生きる

女王ふたりの生き様が、

とても良い。

 


時代に合わさった

コスチュームの数々も、

とても素敵でした。

 


そして、

広大なスコットランドの大地も美しい。

 


いつも観るような

好みのタイプの映画

ではなかったものの

とても惹き込まれる部分もあって

退屈することなく見れました。

 


歴史好きの人には、

堪らない良き内容かも。

【読書】サヨナライツカ

【読書】記録

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#映画化作品 #辻仁成


「#サヨナライツカ」

読了しました。

 


「人間は死ぬとき、

愛されたことを思い出すヒトと

愛したことを思い出すヒトにわかれる。

私はきっと愛したことを思い出す。」

"好青年"とよばれる豊は

結婚を控えるなか、

謎の美女・沓子と出会う。

そこから始まる

激しくくるおしい性愛の日々。

二人は別れを選択するが、

二十五年後の再開で……。

愛に生きるすべての人に捧げる

渾身の長編小説。

 

 

 

またこれは、

とんでもない

ラブストーリーを

読んでしまいました。

 


おそらく読まれる方で、

なにこれ、共感できない

と思われる方もいるのではと

万人受けは

しないかもしれない小説。

 


もともと完全な記録用なので、

個人的な感想ですが、

書いておきます。

(以下、ネタバレ含みます)

 


好青年と呼ばれる主人公。

豊は、本当に、どうしようもない男。

 

 

 

好青年、豊は、

妻、光子のことを、

大切に思いつつ、

タイでの時間を過ごす。

 


そして、

豊がバンコクで出会った、

沓子。

なんといっても、

強さと、儚さが良い。

 


はじめは、なんだこいつ!

なんて思いながら、

豊にも沓子にも

勝手にイライラしながら

読んでいましたが、

ひとりの女性として、

貫く生き方は美しい。

 


妻、光子も然り。

 


タイトルでもあり、

作品の冒頭にある、

サヨナライツカ

の詩で分かるように

さよならを知りながら、

愛するということを

惜しまず与え続ける。

 


女って末恐ろしい生き物。笑

 

 

 

そして、相反するように、

 


沓子に対して

豊が

決して口にしなかった

好きだとか、愛してるとか、

そういった言葉たち。

 


その言葉の重みを

誰よりも分かりながら、

それを一切口にしなかった

豊自身はやっぱりズルイ。

 

 

 

あんな男は嫌だ、と思う。

 


ただ、それと同時に、

何かを失うリスクを伴いながらも

続けてしまうほどの愛を、

わたしはまだ知らないな、と思う。

 

 

 

これから知るのかもしれないし、

これから先も一生、

そんなことはしないのかもしれない。

 


けれど、そういうものも、

確かにあるな、と思ってしまう。

 

 

 

全体的に、特に前半は、

不道徳な感じが否めない内容、

嫌悪感が襲ってくることもしばしば。

 


そんな中、唯一の救いだったのは、

滝沢ナエさんからの手紙。

悩んでもいいが、迷わないで欲しい。

悩んで悩んで悩み抜いて、

人は大きくなるのです。

 


そうかもしれない。

いろんな場面で、

壁にぶち当たって、

その度に人は悩んだり、

わからなくなったりしながら、

それでも大きくなるんですね。

 

 

 

話がまとまらなくなりましたが、

マンダリンオリエンタルバンコク

一生に一度、行ってみたい。

【映画】チョコレートドーナツ

【映画】記録

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「#チョコレートドーナツ」

鑑賞しました。


正義って
なんだろう
愛って
なんだろう
深く考えさせられる作品。


友人にオススメされて、
DVDを借りてみました。


決してハッピーな映画ではないけれど
本当に、良かった。

 

マルコが好きだったもの。
人形のアシュリー、
ディスコダンス、
ハッピーエンドのおとぎ話、
そしてチョコレートドーナツ。
マルコは僕らに家族をくれた。
僕らはマルコをなにがあっても
守ると約束した。
僕たちは忘れない。
マルコと過ごした愛しい日々。

 


以下、ネタバレ含む感想です。
(⚠︎あくまで個人的な感想です)

 

この世界で誰一人として
彼を求めていないのです。
私たちを除いて。


世の中からなくならない
差別と偏見。


この映画を、観た人なら、
きっと誰しもが感じる、
行き場のない悲しみと怒り。


そこら中にある、悪意や、
越えられない壁のような何か。


でも私はそれ以上に、
彼らの愛に感動しました。


これこそ、
無償の愛。


守りたいと思う、何か。
大切にしていきたいもの。


マルコの笑顔と、涙と。


アラン・カミングの、
女性らしい演技は本当に魅力的で。
母性愛が溢れていました。


そして、
作中何度か登場する歌。


即、サントラを
スマホに入れてしまった。


心に刺さる良い歌でした。


魂からの叫びのような。


フランス・ジョリの
「Come To Me」や、
マドンナの
「Love Don't Live Here Anymore」
ボブ・ディラン
「I Shall Be Released」


数々の名曲が、歌われます。


その全てに愛が溢れていて。


何が悲しいって、
その愛が許されず認められず、
そして終わりを迎えてしまうから。


とても優しくて、
とても残酷な現実の中で。


けれど愛は、そこにある。

【映画】風に立つライオン

【映画】記録

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「#風に立つライオン

鑑賞しました。


以前映画館で見てから、
早くも四年が経ちました。


映画を観て、曲を聴いて、
本を買いました。


最近また、
曲にハマって、本にハマって、
時間が少しだけできたので、
DVDを借りてきました。


映画は確かにこういう
描かれ方だったなぁと。


思い出しながら観ました。


以下、ネタバレ含む感想になります。
(⚠︎あくまで個人的な感想です。)

 


タネの入った袋を握りしめて、
雪の降る瓦礫の中に立つ、
ンドゥング。


そこから映画は始まります。


小説の通り、
人々の語りによって
進行されながらも、
映像でより具体的に
情景が見えてきます。


私がこの映画で
何よりも好きなのは、
子供達の笑顔です。


本当に、美しい。

 


僻地医療の現場で、
人々の命のために尽くし、
献身的に努める姿はもちろん
他にもいろんな部分で、
たいせつなことが
沢山詰まっている映画です。

 


孤独に、
そこにある命と
まっすぐに向き合う航一郎の姿が、
本当にライオンのように見えて、
とてもとてもカッコいい。

 


人々の温かさや、豊かさ、愛。
いろんなことを考えさせられます。

 


最後のエンドロール
風に立つライオンは、
本当に響きます。

 


小説と違って
ちょっぴり残念なのは、
2011年のンドゥングの、
お話が出てこないこと。


尺的な問題でも、
希望を持たせるラストで
とてもまとまりがあって、
これはこれで
しっくりくるのですが、
ちょっぴり寂しい。


和歌子が亡くなるのも
本当に呆気ない。
余計に寂しい。


けれど、
写真に収められた、
人々が皆、笑っているから。
笑顔でいるから、いいのです。


島に暮らす、
かつての恋人への
最後の手紙の一文。

 

 

お願いだからしあわせになってください

 


この言葉が焼き付いて、
頭から離れません。

 

【読書】冷静と情熱のあいだ Rosso

【読書】記録

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#映画化作品 #江國香織

 

「#冷静と情熱のあいだ Rosso」

読了しました。


Bluを読んだ後のRosso。
女性目線のお話は、
前回のBluよりも親しみやすく、
受け入れやすいものでした。

 

穏やかな恋人と一緒に暮らす。
静かで満ち足りた日々。
これが私の本当の姿なのだろうか。
誰もが望む生活の中で、
空いてしまった心の穴が埋まらない。
十年前のあの雨の日に、
失ってしまった何よりも大事な人、
順正。
熱く激しい思いをぶつけ合った
私と彼は、
誰よりも理解しあえたはずだった。
けれど今はこの思いすらも届かない。
永遠に忘れられない恋を
女性の視点から綴る、赤の物語。

 


以下、ネタバレ含む感想です。
(⚠︎あくまで個人的な感想です)


舞台は、ミラノ。


Bluの時に感じた、
フィレンツェとは違う街の様子が、
文字の端々からまた伝わってきます。


賑やかな人々と、
足早に過ぎていく時間の波。


冷静と情熱のあいだ


このタイトルに
ふさわしいあおいの心情が、
どこまでもどこまでも
深く冷たく熱く刺さる、
そんな気がしました。


沢山の人との関わりの中で、
愛し愛されて暮らすあおい。


マーヴとの生活は、
とても満たされているように見えて、
あおいの中で何かが欠けているまま。


バスタイムを愛し、
読書の時間を愛し、
そうして毎日をマーヴとともに
生きているあおいの時間が、
なんだかとてもよくわかる。


丁寧で、静かな時間。


それはあおいにとって、
とても愛おしく失いたくない
大切な時間でありながら、
それを全て捨ててしまうことを
どこかで感じながら生きてる、
そんな女。


順正を忘れられない気持ちは、
いたるところに
散らばっているものの、
ふたりがデュオモで再会するまで、
具体的に頻繁に
順正が出てくることはなく、
あおいの中で蓋をしたまま、
思い出の中に収まっている。


Bluとは対照的に、
冷静と情熱のあいだ
隠して押し殺している、
あおいの本音が、とても良い。


所有は最悪の束縛。


マーヴという恋人に甘えて
逃げて、どこか縋りながら、


人恋しさと愛情を混合しないように
細心の注意をはらう。


そんなあおい。

 


マーヴとのやり取りが、
本当にリアルで、
言葉の裏にある本音を
お互いに探り合いながらの
絶妙なバランスで。


こうして、
人と人は成り立ってる
と、しみじみ。


マーヴの愛に、
結局お別れを告げてしまう
あおいですが、
その気持ち、
分からなくはないなぁ。

 


ところで、
Bluを先に読んだので、
あおいにとって、
一番のショックだったであろう
順正との別れの原因と、
順正の父から受けた言葉が、
もっともっと残酷に
描かれてるのかと思いきや、
思ったほどではなかったです。


それ以上に、
心のどこかで求めている
お互いの愛が、
あおいにとっては大切であって、
だからこそ、
蓋をし続けてきた溢れそうな想いが、
今もまだ心に残っているのですね。

 

 


読む年代や、
男女観の違いで、
受け取る側の視点や感想も、
かなり変わると思います。


いやぁ、
江國香織さんの本、
初めて読んだのですが、
とても美しい。


他の本も読んでみたくなりました。

【読書】冷静と情熱のあいだ Blu

【読書】記録

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#映画化作品 #辻仁成

 

「#冷静と情熱のあいだ Blu」

読了しました。

 

気分的に、なんとなく、

癖のある恋愛小説を読みたくなって、

手を出したのがこの作品でした。

 

あの時交わした、たわいもない約束。

10年たった今、

君はまだ覚えているだろうか。

やりがいのある人と大切な人。

今の僕はそれなりに

幸せに生きているつもりだった。

だけど、どうしても忘れられない人、

あおいが、心の奥に眠っている。

あの日、彼女は、僕の腕の中から

永遠に失われてしまったはずなのにー。

切ない愛の軌跡を

男性の視点から描く、青の物語。

 

男性目線で描かれる恋愛小説、

なかなか読む機会が少ないので

とても新鮮でしたが、なんというか、

まぁ、重たい。複雑。

ただ、反して、単純というか。

 

以下、ネタバレ含む感想です。

(⚠︎あくまで個人的な感想です)

 

10年。

時間の感じ方は、

人によっても、

その時の世代によっても

それぞれだと思いますが、

10年って。

 

かつての恋、

それが燃えるように熱く、

何もかもを捨てても良いような

そんな激しいものだったのなら、

尚更、

一旦冷めたように思えたマグマが、

沸々としてくることもあるのかしら。

 

ふとした瞬間に、

一気に過去に飲み込まれる感覚は、

たしかに日常良くありますが、

過去に執着しながら今を生きるなんて

わたしには出来ない。

 

忘れられない想いを

思い切って諦めながらも、

心のどこかで、

それで良しとしながら

過去にしがみ付いて生きる。

 

かっこ悪い。

男の人の思考って、

こんなにも重たいの?!

そう思っていました。

 

でも、確かに、

表には出さず、

自分でも気付かないところで、

過去に囚われて生きているところ

意外とあるのかも。

 

もちろん

自分はそうなりたくないって

どこかでそう思って

強がってしまってるのも、

現実ですが。笑

 

それにしても、

女の私は芽実にも感情移入してしまって、

この作品、

なんだかとっても解せない。辛い。

 

 

それぞれが未来と過去のあいだに

挟まれて、自問自答を繰り返しながら、

この青空の下に生きる。

 

フィレンツェの街の情景が、

昔からの変わらぬ街並みの中で、

一人ぽつんと、

置き去りにされているような、

そんな錯覚に陥らせます。

 

思い出は、

決して色褪せない。

それどころか、

綺麗に修復されながら、

頭の中に生き続ける。

 

何が切ないって、

それでも今、生きて、

別のところにいるのに、

それぞれの時が流れること。

 

こんなにも頭の中は、

過去に取り残されているのに、

未来は来てしまう。

望んでも、望まなくても。

 

 

西暦2000年、5月25日。

その日を迎えて、

時間は動き出す。

 

 

出会ってしまったこと、

別れてしまったこと、

でも、また再会してしまったこと。

なにが良くてなにが悪かったのか。

 

私は、再会してからの3日間が、

どうしようもないほどに印象的でした。

 

過去に縋って生きてきたとき

今ようやくまた出会えたのに

そこにはどうしようもない現実があって

会えなかった8年間の鮮やかな思い出が、

少しずつ確実に塗り替わる。

 

一秒でも早く、

現在を過去に馴染ませたかった。

 

なにが正解で、

どこで間違ったのか、

それはわからないけれど、

それでも前に進み出す。

時間が、動き出す。

 

読み終わってからも、

なんだか、溜息が

出てしまうような感じですが、

2人にも未来が、

生きている限りは、

まだ来ることを祈って。

 

この作品は、

江國香織さんとの2人での作品。

あおい 女性目線で書く江國香織さんと、

順正 男性目線で書く辻仁成さん。

 

次はRossoを読みたいです。