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【読書】冷静と情熱のあいだ Rosso

【読書】記録

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#映画化作品 #江國香織

 

「#冷静と情熱のあいだ Rosso」

読了しました。


Bluを読んだ後のRosso。
女性目線のお話は、
前回のBluよりも親しみやすく、
受け入れやすいものでした。

 

穏やかな恋人と一緒に暮らす。
静かで満ち足りた日々。
これが私の本当の姿なのだろうか。
誰もが望む生活の中で、
空いてしまった心の穴が埋まらない。
十年前のあの雨の日に、
失ってしまった何よりも大事な人、
順正。
熱く激しい思いをぶつけ合った
私と彼は、
誰よりも理解しあえたはずだった。
けれど今はこの思いすらも届かない。
永遠に忘れられない恋を
女性の視点から綴る、赤の物語。

 


以下、ネタバレ含む感想です。
(⚠︎あくまで個人的な感想です)


舞台は、ミラノ。


Bluの時に感じた、
フィレンツェとは違う街の様子が、
文字の端々からまた伝わってきます。


賑やかな人々と、
足早に過ぎていく時間の波。


冷静と情熱のあいだ


このタイトルに
ふさわしいあおいの心情が、
どこまでもどこまでも
深く冷たく熱く刺さる、
そんな気がしました。


沢山の人との関わりの中で、
愛し愛されて暮らすあおい。


マーヴとの生活は、
とても満たされているように見えて、
あおいの中で何かが欠けているまま。


バスタイムを愛し、
読書の時間を愛し、
そうして毎日をマーヴとともに
生きているあおいの時間が、
なんだかとてもよくわかる。


丁寧で、静かな時間。


それはあおいにとって、
とても愛おしく失いたくない
大切な時間でありながら、
それを全て捨ててしまうことを
どこかで感じながら生きてる、
そんな女。


順正を忘れられない気持ちは、
いたるところに
散らばっているものの、
ふたりがデュオモで再会するまで、
具体的に頻繁に
順正が出てくることはなく、
あおいの中で蓋をしたまま、
思い出の中に収まっている。


Bluとは対照的に、
冷静と情熱のあいだ
隠して押し殺している、
あおいの本音が、とても良い。


所有は最悪の束縛。


マーヴという恋人に甘えて
逃げて、どこか縋りながら、


人恋しさと愛情を混合しないように
細心の注意をはらう。


そんなあおい。

 


マーヴとのやり取りが、
本当にリアルで、
言葉の裏にある本音を
お互いに探り合いながらの
絶妙なバランスで。


こうして、
人と人は成り立ってる
と、しみじみ。


マーヴの愛に、
結局お別れを告げてしまう
あおいですが、
その気持ち、
分からなくはないなぁ。

 


ところで、
Bluを先に読んだので、
あおいにとって、
一番のショックだったであろう
順正との別れの原因と、
順正の父から受けた言葉が、
もっともっと残酷に
描かれてるのかと思いきや、
思ったほどではなかったです。


それ以上に、
心のどこかで求めている
お互いの愛が、
あおいにとっては大切であって、
だからこそ、
蓋をし続けてきた溢れそうな想いが、
今もまだ心に残っているのですね。

 

 


読む年代や、
男女観の違いで、
受け取る側の視点や感想も、
かなり変わると思います。


いやぁ、
江國香織さんの本、
初めて読んだのですが、
とても美しい。


他の本も読んでみたくなりました。